Cardboard Painting|ダンボールペイント


段ボール。荷物を運び終えれば、たいていはゴミ置き場へ直行する。
そんな社会的地位の低い素材に、妙な執着を燃やしてみる。


まずは紙の繊維や波形の凹凸を生かし、深い青や深紅の色面を大胆に配置。
白い紙片を貼り重ね、擦れや剥がれ、絵具のムラを加えていく。
さらに黒いラインやひし形のフォルムを組み込み、
荒々しい素材感とグラフィカルな構成をぶつけ合う。
デジタル制作では、紙の繊維、塗膜の荒れ、経年劣化による染みや傷を
テクスチャーとして重ね、レイヤーごとに色調やコントラスト、
不透明度を調整。偶然に生まれたような汚れにも居場所を与え、
無秩序の中に緻密なリズムを組み立てていく。



風化する色彩


傷跡のグラフィズム



新品の清潔さより、使い古された表面に漂う得体の知れない色気。


傷は隠すもの、汚れは落とすもの、という世間の常識には少々ご退場願いたい。
こちらはわざわざ傷をつけ、汚れを重ね、
捨てられる運命の紙に第二の人生を与えている。本人は大真面目だが、
段ボールにここまで手間をかける人間も、なかなか始末が悪い。



廃材の美学


無秩序の構成美



廃材を美しく飾るのではない。


素材の傷跡を暴き、経年劣化に化粧をさせ、
グランジの毒とグラフィックの秩序をせめぎ合わせる。
捨てられるものに価値を見いだすのか、価値があると思いたいだけなのか。
そのあたりは、作品を見た人のご判断にお任せしたい。


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