自分探しの旅・故郷 函館を巡る

北海道を出て、本州に移り住んでから10年、20年、そして40年。オレはこれまで三度、故郷・函館を訪れている。今では北海道の中でも人気の観光地となった函館。テレビでは、函館の街並みや夜景、海鮮料理、ホテルの豪華な朝食などが紹介されている。そんな映像を見ていると、確かに函館は魅力的な街なのだと思う。けれど、オレが函館を訪れるとき、観光客が訪れるような場所へ行くことはあまりない。向かうのは、子供の頃に遊んだ海沿いの街。若い頃に通った飲食店。あるいは、一日中埠頭に座って船を眺めていた場所。

そこには、オレ自身の記憶が残っている。
久しぶりに訪れてみると、街は少しずつ変わっていた。昔は人で賑わっていた通りから店がなくなり、シャッターの閉じた建物が増えている。場所によっては、当時の面影を残したまま、廃墟のようになっているところもある。少し寂しい気持ちになる。しかし、不思議なことに、そんな風景を見ると懐かしさも感じる。目の前にあるのは今の函館なのに、頭の中には子供の頃や若い頃の風景が重なって見えてくる。


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街が変わったのか、それとも自分が変わったのか。
40年という時間を考えれば、街が変わるのは当然のことなのだろう。そして、自分自身もまた、同じだけの時間を生きてきた。故郷を訪ねる旅は、昔の街を探す旅であると同時に、昔の自分を探す旅なのかもしれない
今回描いたのは、そんな函館の風景だ。

観光地としての華やかな函館ではない。人の気配が少なく、少し寂れた街並み。その向こうには、昔と変わらない綺麗な海が広がっている。時代から取り残されたような風景だけれど、オレにはそこに、長い年月を生きてきた街の記憶が見える。そして、その風景を描きながら思う。失われていく街を見つめることは、失われていく自分の時間を見つめることでもあるのだと。だから観光客には見えない函館を描いてみたい。
そこには、オレだけが知っている函館と、そこに置き去りにしてきた昔の自分がいる。


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